2014年5月8日木曜日

本の紹介 カオスブックス「双星譚」

文フリで購入した本のご紹介です。

ツイッターで拝見したときから、すごい本だなとは思っていたのですが、期待を裏切らない素晴らしい作品でしたので、ご紹介いたします。

カオスブックスさんの小節「双星譚」です。
http://chaoschaosbooks.tumblr.com/







まず表紙がカラーでかっこいい。
タイトルの「双星譚」は(少しネタバレになってしまいますが)「二つの星=双星」と「創世」との二重の意味がかけられていることが読み終わるとわかります。
非常に練られています。






さらに、表紙を外して広げると、物語に登場する星の地図になっています。
星に生息する動物や植物、それから町が記されています。カラーで。

カオスカオスブックスさんの作品は、全てかなりこだわった装丁になっています。
本は「書かれている中身が一番大事」だと普通の人は思うかもしれませんが、我々ビブリオマニアにとっては、装丁、紙、フォント、挿絵、組版といったことがむしろ一番大事なのです。
装丁や紙やフォントや挿絵が素晴らしければ、内容が全くわからなくても買う価値があります。
なぜならば本としてのクオリティが高いからです。
クオリティの高い本は買う価値があります。

カオスカオスブックスさんの本はクオリティが高いのですが、値段が安いです。
こういう本はもっと高い値段をつけていただかないと、私の本が相対的に割高に思えてしまうのでやめていただきたい。








さて、もちろん小説の中身も面白いです。

上の挿絵の丸いやつがバンゲリブラ人。
三角なのがサ・ムゥ人です。

ざっくりいうと、三角のサ・ムゥ人は私がいうところのインテリです。
なんでも紙に記します。(厳密には紙ではない。この星独自の物質)
好奇心が旺盛で言語によって全てを明らかにしたいという強い情熱を持っています。
インテリのわたくしとしては、非常に好感が持てます。

まるいほうのバンゲリブラ人は、サブカル女子です。(当然、本当は全く違います。読んでください。)
言葉は使えないのですが、絵を描くのが非常に上手で、それによって意思を伝えたり、音楽を伝えたりできます。
音、意思、色、こういったものが彼らの中では一緒になっています。
みな一日中絵をかいています。

言語派インテリのサ・ムゥ人。
感覚派のバンゲリブラ人。
二つの種族が出会います。

言葉でコミュニケーションしようとする種族と、絵でコミュニケーションをする種族。
これらが出会うことによって非常に面白いことも起きますし、悲しいことも起きます。

異文化が出会ったときに生じる悲しい出来事というモチーフは、古来より神話や民話によく表れます。
またSFもそうですね。
エイリアンは黒人と白人の戦いの比喩だという研究者もいます。
「双星譚」においても二者の出会いは必ずしも幸せな結果にはなりませんでした。
非常に切ない。

言語と非言語というのは哲学でも非常に重要なテーマです。
ヴィトゲンシュタインは「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」 という有名な一文を残しています。
あまりに全てを言葉によって扱おうとすると失われてしまうものがあります。
失われたものは二度と戻ってきません。
この物語でも失ってしまう人がいます。

しかし、このお話は「なんでも言語化したらいけないよ」なんていう陳腐な教訓を示すためにあるのではありません。
よくできた神話がそうであるように、現代人からみると非合理とも思われる筋運びとなり、そしてその非合理性故に、むしろ真実を示しているように思われます。
神話では、死は死として、生は生として、争いは争いとして、自然は自然として描かれます。
そこには意味や解釈を挟む余地はなく、あるがままカオス状態のまま描かれます。
カオスといいましたが、世界はもともとそうあるのだと思います。
それを人間が整理してしまうだけです。
カオスが普通なんです。

「双星譚」には神話がもつ力強さのようなものがあります。
特にラストの壮大な展開は美しい。

気になるでしょう。
欲しいでしょう。
カオスブックスさんはこちらです。
http://chaoschaosbooks.tumblr.com/

しかし「双星譚」は完売のようです。
最後の一冊を私が買ったからです。
しかし、増印するようですよ。
しばしお待ちを。

2014年5月6日火曜日

文フリ/JPOPの詩を作るワークブック/フミカレコーズ『フミカ』「 drum'n'words」

文フリでフィンガードラミングの本売ってきました。人生初のいわゆる同人誌即売会。コミケもM3もいったことがなかったのでとても貴重な体験でした。

 今回は音楽批評をやってるサークル、フミカレコーズはやおきさんのご好意で、ブースの一角をお借りして販売させていただきました。ありがとうございます。会ったこともない、しかもTwitterでムカつく奴に一人づつ丁寧に死ね!とリプライする私のような狂犬を迎え入れるその広い御心に、感謝。
 
ただ、インターネットは非常に危険な場所だと聞きます。やおきさんのような優しい人間はまず最初にインターネットに殺されてしまいます。ガンダムをみてください。ナデシコをみてください。いいやつはすぐに死ぬのです。もっと警戒をする必要があります。僕はこれ以上人が死ぬのを見たくないのです。よろしくお願いします。

 ここからは、フミカレコーズさんが2012に発行したか音楽批評誌フミカより、DRUM'N'WORDSと題されたコーナーの、「歌詞の書き方」というJPOPの作詞に関するワークブックを紹介します。フミカには他にもボカロ曲のクロスレビューや、音楽批評同人誌のレビューがあります。500円。お得な感じがします。こういったしっかりした本を作っている人が値段を上げていかないと、下がつかえてしまいます。非常に困ります。

 さてこのコーナー、非常にわかりやすく、誰でも参考にすることができ、応用が効く内容となっています。何故ならば「具体的な課題」がそのまま詩の創作、分析に直結するようになっているからです。課題は11までありますが、どれも一つ一つは非常に簡潔なのですが、即詩を書くことに結びついています。最後まで読んだけど、何をしたらいいのかわからない?ということには決してならない。たった見開き9ページを読み終えるころには、私の手元には一曲をつくるためのフレーズがたくさんできています。

 具体的にはこんな感じです。「あ」ではじまるフレーズを10個書いてリストをつくろう。このリストを音の数が少ない順に並べかえよう。11までやるころには、ワークブックを読む前には私にはなかったフレーズが生まれています。〜からはじまるフレーズ。〜で終わるフレーズ。〜を挟むフレーズ。他にも文字数の指定、意味の縛りなどが提案される。

 なるほど。これはJPOPだけに限られることもなく、ヒップホップにもソウルにも応用できる気がします。とにかく何をすればいいのか明確ですから、非常にクリティカルです。印象批評とは全く異なります。それでいて、同時に詩の批評にもなっています。

 何をすればいいのかわかるコンテンツというのは、実は非常に力があると思います。マルクスを読んでも、フーコーを読んでも、何をすればいいのかよくわかりません。もちろんマルクスにもフーコーにも、彼らだけの役割がありますので、それを否定しているわけではありませんが。しかし、読み終わった時に実際に行動に移すことができるコンテンツというのは、実際的な力がMAXです。当たり前ですが。特に音楽や絵画といった芸術には、やってみたほうがよくわかる、ってことが多いのではないかと私は思っています。説明すると難しいけど、やってみたら非常によくわかる、というようなことが多いジャンルなのではないでしょうか。やってみるってのは非常にプラクティカルなのです。
 
 しかも、ここが大事なのですが、単なる課題の羅列ではなく、やおきさんなりの解説と理論化が行われます。これがないとただの計算練習ドリルになってしまいます。つまり、この課題によって我々は何に注目しようとしているのか、どういった法則を導き出そうとしているのか、どういう時にこの技法が有効なのか。そういったことが説明されます。これによってこのメソッドを使う使わないの判断を自主的に読者がすることができます。
 
これは非常に大事です。結局のところ、技法というのは意図する効果とセットであり、単に正しいとか合理的だというような物はあり得ないのです。作者が捨拾するものなのです。これを可能にするためには、作者がメソッドの効果を把握していなければなりません。把握していれば、ここにふさわしい、ふさわしくない、といった判断をすることができます。このことが説明されていない本はたくさんあります。単なるメソッドの羅列はあまり意味がありません。その効果とセットでなければ。

 ということで、これいいですね。ぼくもこのメソッドでトレーニングをつみ、ギルスコットヘロンを目指します。
 

 

2014年5月1日木曜日

早くて高い自転車を二子玉で見てきた。


二子玉川にある自転車屋さんに行ってきました。GIANTというメーカーのオフィシャルショップ。

駅をおりてすぐの場所にあります。
店構えがおしゃれ。

ゴールデンウィークに入って売れているらしく在庫がないものもありましたが、それでも都内量販店より充実したラインナップが展示されており、試乗も可能。

結局当初から狙っていたTCR 2にすることにしました。



税抜定価12万。
ママチャリに乗ってるみなさんから考えたら、狂気の沙汰だと思われても仕方がないと思います。

しかし、しかし、このスペックでこの値段。実はこれ、ものすごいコストパフォーマンスなんです。実業団レベルのレースでも通用する性能。アマチュアレベルだったらほとんど買い直す必要なし。

あとは自分の体を鍛えるのみ。機材のせいにはできません!!

それにしてもガチ自転車を買ってしまう日が来るとは…やってしまった…

今はデブですが、一時期は月に400キロほど走っていたので、それなりに自転車乗ってました。これをきに、もう一度ハードに乗って行きたいと思います!

俺たちの冒険はまだはじまったばかりだ!