今回は音楽批評をやってるサークル、フミカレコーズはやおきさんのご好意で、ブースの一角をお借りして販売させていただきました。ありがとうございます。会ったこともない、しかもTwitterでムカつく奴に一人づつ丁寧に死ね!とリプライする私のような狂犬を迎え入れるその広い御心に、感謝。
ただ、インターネットは非常に危険な場所だと聞きます。やおきさんのような優しい人間はまず最初にインターネットに殺されてしまいます。ガンダムをみてください。ナデシコをみてください。いいやつはすぐに死ぬのです。もっと警戒をする必要があります。僕はこれ以上人が死ぬのを見たくないのです。よろしくお願いします。
ここからは、フミカレコーズさんが2012に発行したか音楽批評誌フミカより、DRUM'N'WORDSと題されたコーナーの、「歌詞の書き方」というJPOPの作詞に関するワークブックを紹介します。フミカには他にもボカロ曲のクロスレビューや、音楽批評同人誌のレビューがあります。500円。お得な感じがします。こういったしっかりした本を作っている人が値段を上げていかないと、下がつかえてしまいます。非常に困ります。
さてこのコーナー、非常にわかりやすく、誰でも参考にすることができ、応用が効く内容となっています。何故ならば「具体的な課題」がそのまま詩の創作、分析に直結するようになっているからです。課題は11までありますが、どれも一つ一つは非常に簡潔なのですが、即詩を書くことに結びついています。最後まで読んだけど、何をしたらいいのかわからない?ということには決してならない。たった見開き9ページを読み終えるころには、私の手元には一曲をつくるためのフレーズがたくさんできています。
具体的にはこんな感じです。「あ」ではじまるフレーズを10個書いてリストをつくろう。このリストを音の数が少ない順に並べかえよう。11までやるころには、ワークブックを読む前には私にはなかったフレーズが生まれています。〜からはじまるフレーズ。〜で終わるフレーズ。〜を挟むフレーズ。他にも文字数の指定、意味の縛りなどが提案される。
なるほど。これはJPOPだけに限られることもなく、ヒップホップにもソウルにも応用できる気がします。とにかく何をすればいいのか明確ですから、非常にクリティカルです。印象批評とは全く異なります。それでいて、同時に詩の批評にもなっています。
何をすればいいのかわかるコンテンツというのは、実は非常に力があると思います。マルクスを読んでも、フーコーを読んでも、何をすればいいのかよくわかりません。もちろんマルクスにもフーコーにも、彼らだけの役割がありますので、それを否定しているわけではありませんが。しかし、読み終わった時に実際に行動に移すことができるコンテンツというのは、実際的な力がMAXです。当たり前ですが。特に音楽や絵画といった芸術には、やってみたほうがよくわかる、ってことが多いのではないかと私は思っています。説明すると難しいけど、やってみたら非常によくわかる、というようなことが多いジャンルなのではないでしょうか。やってみるってのは非常にプラクティカルなのです。
しかも、ここが大事なのですが、単なる課題の羅列ではなく、やおきさんなりの解説と理論化が行われます。これがないとただの計算練習ドリルになってしまいます。つまり、この課題によって我々は何に注目しようとしているのか、どういった法則を導き出そうとしているのか、どういう時にこの技法が有効なのか。そういったことが説明されます。これによってこのメソッドを使う使わないの判断を自主的に読者がすることができます。
これは非常に大事です。結局のところ、技法というのは意図する効果とセットであり、単に正しいとか合理的だというような物はあり得ないのです。作者が捨拾するものなのです。これを可能にするためには、作者がメソッドの効果を把握していなければなりません。把握していれば、ここにふさわしい、ふさわしくない、といった判断をすることができます。このことが説明されていない本はたくさんあります。単なるメソッドの羅列はあまり意味がありません。その効果とセットでなければ。
ということで、これいいですね。ぼくもこのメソッドでトレーニングをつみ、ギルスコットヘロンを目指します。
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