2013年8月20日火曜日

コード分析 Curtis Mayfield / So in Love

Curtis Mayfieldの「So In Love」は、カーティス七枚目のアルバム「There's No Place Like America Today」に収録されたラブソング。

ささやくような、しぼりだすようなカーティスの優しく儚い歌声と、管楽器の壮大なオーケストレーション、ソウルフルなオルガン、そして相変わらずスカスカのバンド。絶妙なバランスでトラックが成り立っています。

これでもかというほど遅いビートがこのアルバムの特徴ですが、内省的なカーティスの良さを引き出しているように感じます。


さて、冒頭の歌が入る前、派手な管楽器のフレーズが出てくるあたりをみてみましょう。

ベースはEbをキープしたまま、Ab→Ebとコードが繰り返されます。
これはトニックルート(Eb)のまま、4→1と繰り返す、ブラックミュージックに頻出するトニックの装飾です。

ルートが1であることが非常に大事で、これを単に4→1とベースを進行させると、まったく異なるサウンドになってしまいます。

その後は、
Ab /Eb on Bb /Fm7 on Bb /Eb on Bb  Db on Eb
と続きます。

4 1on5 2m7on5 1on5  7b on1
です。

この一連のフレーズは本当に最高ですね。
少しずつ盛り上がっていく。

このフレーズの特徴もベースラインでしょうか。
ベースが少しずつ上昇するようにアレンジされています。
ベースがBbになったあと、ベースは同じままコードが変わることで、
じわっとした盛り上がりを見せます。

また最後の7b on 1 、これは唯一ダイアトニックではないコードです。
これはサウンド的には4に解決すために用いられるもので、
5m7→1b7→4という進行で使われる一連のコードを一つで表したようなコードです。
5m7 1b7よりも洗練されたサウンドですね。

これを1拍裏で強調することで、繰り返されるコードの冒頭、4へ力づよく戻るわけです。


またベースラインの特徴ですが、M6の音を多用しています。
このことで全体のサウンドは、単なるメジャーコードではなくM6コードになり、
ソウル特有の雰囲気が出ているといえるでしょう。

ベースをただのルートだけにし、M6が含まれないようにしてしまうと、
まったくこのアーシーな雰囲気がでないことがわかります。
非常においしいフレーズなので、ぜひコピーしてみてください。


カーティスメイフィールドは、マービンゲイやスティーヴィーワンダーに比べると日本での知名度が高くはないのですが、彼のシンプルなコードと高度なアレンジは、参考にできるところが多くあります。

また個人的に一番好きなアーティストです。

ではまた。







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