2013年11月19日火曜日

Motel/いずこねこ/リズム解説/ライヒとの関連性

先日、いずこねこ2ndワンマンライブ『猫と煙と赤いカーテン』@東京キネマクラブで演奏させてただきました。
お疲れ様でした。

楽曲の完成度、茉里ちゃんのカリスマ性、飼い主(いずこねこファンの方の通称)の皆様の一体感、何もかもが凄く、素晴らしいの一言でした。
勢いが半端ない。
非常に楽しい。

今後は一ファンとして通い詰めたいと思います。
よろしくお願いします。

さて、そんないずこねこさんの楽曲を我々演奏チームは相当練習したのですが、その中でも得にエネルギーを注いだのが「Motel」で、Motelは、いずこねこ楽曲の中でも一段と込み入った作りになっておりまして、いずこねこ飼い主の皆様におかれましても、どうなってるのか全くわからない、そういう方も多いと思われます。

実は私も最後の最後まで、というよりは公演のその日になっても正確に把握できず、かろうじて自分のパートだけはなんとかできる、という状態でした…

やっと理解できたのは公演終了後3日目。
終わった後にわかっても仕方ないのですが…笑

ということで、今回はいずこねこさんのMotelを取り上げさせていただきます。
いつもは主にコードの分析をしていますが、今回はリズムです。

音楽理論的にはほとんどリズムのことを取り上げることはないのですが、この楽曲の核はなんといってもリズムでしょう!

ではいきましょう。

まずは下記リンクから楽譜PDFをダウンロードしてください。
グーグルドライブへのリンクですが、グーグルドライブでの表示の精度が高くないため、必ずリンクに飛んだ後にファイルを保存し、通常のPDFビューワーで見るようにお願いします。
https://drive.google.com/file/d/0B5irSlwpMw-pWUYycjduOWdPYVU/edit?usp=sharing

さて開いていただくと、まず一段目Drumと書いてある段は、Drumのリズムが書いてあります。四角マークがキック(バスドラム)、三角マークがスネアを表しています。

キックというのは、ドラムキットの中で低音を主に担当する楽器で、ドンドンというサウンドで、大抵場合、楽曲の一拍目を強調しています。

Motelにおいては、ほぼ一曲を通して均等にドンドンドンドン鳴り続けています。このようなリズムを一般的に4つ打と呼びます。
ソウルに由来するリズムパターンで、現代ではテクノやハウスといったクラブミュージックに特有のリズムパターンです。
クラブミュージックでよく使われることからわかるように非常に乗りやすいビートのため、昨今アイドル楽曲でも多く使われています。

次にスネアですが、これはパシッという金属的なサウンドです。演奏者の目の前に配置されており、一般的にドラムというとこの楽器をイメージする方が多いかと思います。

Motelにおいては、キックの裏で常になっており、キックと合わせて、
「ドッ パッ ドッ パッ ドッ パッ ドッ パッ」というサウンドを形成します。

楽曲開始からこのキックとスネアによるドッパッドッパッというサウンドスタートします。

さて、ではドラムのサウンドを確認したところで、楽曲の頭から聞いてみましょう。

ドラムの四つ打ちのサウンドが始まり、そして颯爽とギターのフレーズが繰り返されます。ギターのフレーズは二段目に表記しました。

0:27〜Aメロの歌が入ってきます。その少し前にバシャーンというクラッシュシンバルの音が入っています。これは、ドラムの楽譜の中にバツマークで表記しました。これも一つの参考にしてください。

歌は楽譜の二段目に記入しました。歌詞も記入したので目で追うことができると思います。

さあ、実は既にこの時点でいずこねこの楽曲は普通の楽曲と異なります。
何故なら、一拍目から歌が入っていないのです。
普通なら一拍目から歌が入りますし、一拍目に入らなくても少なくとも次の小節の一拍目には音が入ります。
しかし、MotelのAメロでは一拍目を避けるように歌が入っています。
これがまずMotelの拍が取るのが難しい第一の理由です。

次に注目するのは、1:13〜Bメロが始まります。54小節目です。

ここ、実は何となく聞いているとわからないのですが、超難所で、なんとその前の箇所、53小節目が八分の一拍短いんです!!!

わかりますか?7/8と書いてありますよね?ここまでは全て4/4だったのにここだけ7/8。
つまり、1/8拍短いんです!

このせいで今までキックが頭にあったのに、Bメロはスネアが頭になっています。
三角のスネアマークが一拍目にありますよね?

でも実際にはそんなに変に聞こえません。
何故なら、まりちゃんのメロディーも1/8拍後ろにつんのめるように配置されているために、結果としてこのズレがあまり認識されないままBメロを終えることができます。

恐ろしい…

1:37〜70小節目 サビに入る前ですね。
ここでも実はこの1/8拍短い現象が起きています。
AメロからBメロに入るときに1/8短いので、キックとスネアの裏表が逆になって、そしてもう一度、Bメロからサビに入る前にも1/8拍短いので、結果として裏表が戻り、頭がキックに戻っています。

ややこしいですね笑

このことがなかなかわからず、当初、我々は誤ってBメロは通常よりも1/4拍短いと考えていたんです。

本当は
Aメロ→Bメロで1/8短い
Bメロ→サビで1/8短い

なのですが、結果としてBメロ→サビ で一拍短い、でもつじつまがあってしまうからです。

本当のことがわかったのは最終リハの1時間の時でした。
サクライさんが例のボソボソっとした調子で、
「そこ半拍ずらすんです…こうです…」と。

早く言え!!!!!!笑

飼い主の皆さんはもう慣れてると思うんですけど、サクライさんてそういう人ですよね。
寡黙な男なんです。

でもそういうことはもっと早く言ってくれ!!!笑
あんたがスティーブライヒを好きなのはわかるが、俺はライヒじゃないから言ってくれんとわからん!!!!

ということで愚痴はこれくらいにして進みます。

サビ終わり、85小節目ですがここでも1/8拍短いです。
ですからスネアが頭になっています。
そのせいでギターのフレーズが半拍おくれて聞こえませんか?
イントロのギターのフレーズと比べてみてください。
ギターの入り方がおかしいでしょ?
これは、スネアとキックがひっくり返っているからおかしいんです。

2:48〜歌が入ってきますね。最初のAメロと比べるとおかしいですよね?
ここもやはりスネアがおもてになっているので、ひっくり返ってるんですね。
キックにつられないでください!
あくまで頭はスネア!!

3:10〜Bメロに入る前、ここでも1/8拍短いので、結果として表裏が戻ります。
戻るのですが、Bメロはそもそも変なタイミングではいるメロディーのため、表にキックがくることで逆によくわからなくなります!!!笑

鬼畜ですね。
なんでまりちゃんこれ歌えるんでしょうか…
すごい。

次行きましょう。

3:32〜 150小節目、サビはいる前。
ここでも1/8拍短いです。
みなさんおなじみのやつですね。笑
慣れましたか!

スネアが表になります。

いかがでしょう。
まだ楽曲は続くのですが、なぜ私たちがリズムをとれなくなるのか。
ご理解いただけたでしょうか。

全てはサクライさんが悪い、ということがよくわかったと思います。
1/8拍ズラしたサクライさんが悪いと。
そのせいでみんな苦しんでいるんだぞ、と。

もっというとサクライさんに影響を与えたスティーブライヒが悪い。

下の動画はライヒのかの有名なバイオリンフェイズですが、同じフレーズを微妙にずれて演奏しているのわかりますか?
そのせいで途中わけわかんなくなってますよね?


これはライヒの初期特有のフェイズシフティングという技法ですが、ようはずれていく面白さを追求した作品です。

多分サクライさんはこういった現代音楽にヒントを得てるんだと思います。
本人は何も話そうとしないんですが笑

余談ですが、このサウンドどこかで聞いたことないでしょうか?
ラピュタとかで。

実は、ジブリ作品で有名な久石譲さんもこういったミニマルミュージックに強い影響を受けています。
ライヒの初期作品は難解だと言われる現代音楽の中でも比較的調性が明確でわかりやすいため人気があり、多くの音楽に影響を与えています。

話を戻すと、Motelが難しいのはサクライさんが悪いということです。
あの人が悪い。

では、この難曲をクリアーするにはどうしたらいいか、ということなんですが、簡単な攻略法はないので、この楽譜を見ながらひたすら聞いていただくしかないです。

その際に注意してほしいのは、スネアとキックのどちらがおもてにくるか、ということですね。

同じサビでも1回目と2回目が違ったりするので、それを完全に把握すると。
これしかない。

がんばりましょう!!!
ということで、今回はいずこねこさんのMotelでした。

お疲れさまでした。












0 件のコメント:

コメントを投稿