その場合は大抵、親指と人差し指がハーモニーを担当し、残った中指以降がメロディを演奏する。
このときに注意したいのは、実はメロディのラインを弾く場合と和音を弾く場合に、適切な手のポジションが異なるため、和音とメロディが混合する場合にはそれを切り替える必要がある、という点だ。
では、和音を弾く場合と、メロディラインを弾く場合に、どのようなポジションの違いがあるだろうか?
和音の場合、当然二本以上の指を使う。特殊な事情がない限り、この複数本の指の力が等しくになるようにする必要がある。
またこの力は、指によって生じるのではなく、どちらかというと手の重みによって生じるべきだ。
手の重みとはつまり、上腕、前腕の力を抜いた時に、自然に落下する手の甲の重みである。
手の重みを利用し指にかかる力を均等にしようとすると、自ずとそのポジションの可能性は少なくなってくる。この後に説明するメロディラインを弾く場合のポジションに比べて、可能性はずっと少ない。
だから和音とメロディを同時に弾く問題は、この和音のポジションを取れるような動きができるか、ということにかかっている。
またこのポジションどりは、使用する指の本数が多いと、ほとんど一箇所に決まってしまう。
例えば四和音を弾く場合には、二和音を弾く場合に比べて、ずっと可能性が少ない。
これは四本足の椅子に座る場合に、安定するポジションの可能性を考えてみるとわかりやすい。
四本足の椅子に安定して座る場合に、座面が床に対してとる角度は、一つしかない。
それどころか、椅子の足の長さがアンバランスで、安定しないことさえあるかもしれない。四本足の椅子が安定するのは難しい。
次に二本足ならどうだろうか?この場合も、本当に安定するポジションは一つしかない。その一つ以外は、本当に安定するポジションよりも、多少は指の力での補助が必要になってしまう。それでも四本足に比べればまだ柔軟性はある。
和音を弾く場合、使用する指の本数が増えるほど、安定するポジションが少なくなり、そのポジションをとることが難しい。
では、メロディラインの場合はどうだろうか。
シングルトーンのメロディラインを弾く場合、指の選択に自由さがかなり残されている。
例えばド、ミと順番に弾く場合には、ドを親指でも人差し指でも、すべての指を選択できるし、ド弾くためにどの指を選択したとしても、次のミも同様にどの指でも選択することができる。
つまりシングルラインを演奏する場合には、和音に比べてポジションの選択肢が多いため、和音とメロディラインを同時に演奏する場合には、もっぱら和音のポジションどりだけを気にすれば良い、ということがいえる。
ちなみにシングルラインを演奏する場合にも当然制限はある。例えばオクターブ離れた音を順番にレガートで演奏する場合、親指と小指以外の選択はほとんどない。
音が離れている場合にはかなり選択肢が狭まるのだ。
まとめよう。和音とメロディを同時にもしくは平行して演奏する必要がある場合、限られたポジションしか取れない和音について特に気にする必要がある。次に跳躍の幅が広いシングルラインを考慮しよう。
以上です。
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