Cを主人公として、12音の関係を、フルハウスのような人間関係で表現してみた図が上の図です。
この図を作ってみようと思ったのは下の図がツイッターで回ってきたからです。
とても楽しい図なのですが、音楽理論家的には音と音の関係をより正確に反映させたいと思いました。
特に気になったのが、「不仲」という表現です。半音隣を「不仲」と表現しているのですが、音楽的に半音隣は、非常に親密な関係にあります。また、「A」と「C」は平行調の関係をつくる2音ですからとても大事です。それから、12音しか無いこの世界で、他人とか仲が悪い人間は存在しません。12音の世界は、濃密な、それころ愛憎満ちたドロドロの人間関係が形成されています。
ということで、この改訂版の理論的な説明をします。
和音に出てくる登場人物の関係と和音の性質の一致
この図で特に大事にしているのは、主要な和音を演奏したときに現れる登場人物の関係が、和音の性質と対応することです。例えば、Cメジャーキーで、一番重要な和音 C(ドミソ=CEG)は、「主人公、妻、息子」という「家族」という安定した人間関係を形成します。
父を慕う息子G、主人公を導く(導音)伯父B、友人D
他にも、G(ソシレ=GBD)は、「息子、伯父さん、息子の友人」という「主人公に縁の深い男性グループ」を形成します。彼らはそれぞれ役割があります。息子(ソ)は父の本に帰ります(ドミナント)。伯父(シ)は主人公を導く先輩です(導音)。そして息子の友人(レ)は、主人公とは強い血縁関係にはありませんが、主人公の息子と関係がとても強いのです(レとソは完全五度という強い関係)。女性的な和音F(F A C=ファラド)
もう一つこれまた重要なF(F A C=ファラド)をみてみましょう。娘(ファ)と主人公の母(ラ)そして主人公(ド)です。ここでも緩い血縁関係が形成されています。また、このファラドという和音が持つ女性性も表しています。そして同時に母と主人公がいることによって、この和音が思いの外安定していることも示しています。元の図との違い 悪友F#(主人公の裏の顔)
さてここで、ツイッターで回っている方の図と私の図で全く異なるもの、もしくは、「不倫相手」や「母」といった、ちょっと気になる登場人物について説明します。まず「F#」これは私の方では「悪友」、元の画像は「他人」となっています。確かにF#はCとそこまで結びつきが強い訳ではないのですが、CとF#は「裏」という関係にあり、Cとはいつも一緒にいるような仲間ではないが、しかしCそのものといってもいいような、複雑な関係にある音なのです。本当は、主人公の「二重人格の裏の顔」としたかったくらいです。ですから、F#はCとは無関係ではありません。
不倫相手 Eb
次に皆さんが気になっているであろう「不倫相手」=Ebの説明をしましょう。正妻はE(ミ)ですが、その半音下のEbが「不倫相手」となっています。主人公Cと正妻Eの二人は、Cメジャーという調性を造りだします。ドレミファソラシドの世界です。ハ長調です。この世界の中で、息子のGや娘のFが生まれてくる訳ですね。不倫相手の子供かもしれない娘Fと息子G
では、主人公Cが不倫相手Ebと関係を持つとどうなるでしょう。ここでは、Cマイナーという世界が広がります。正妻のEは存在しない世界です。しかし、普通にF娘とG息子も存在します。これは何を意味するのでしょうか。もしかすると、主人公の娘と息子は、正妻の子供ではなく、不倫相手の子供なのかもしれない、ということを示唆しています。実際音楽の世界ではFとGは、正妻の世界「Cメジャーの世界」でも不倫相手の世界「Cマイナーの世界」でも同じ役割を果たす存在です。どちらの世界にも存在するのです。実際には、男性が自分の子供かどうか分からないことはあっても、母親が自分の子供かどうか分からないことはありませんので、このような混同はありえません。しかし、このことは音楽の世界のある特殊な性質を逆に強調しているように思えます。
それはつまり、娘Fと息子Gが、誰から生まれてきたのか、父C確認することができない、という事実です。例えば、Csusというコードがあります。構成音はC F Gですが、つまり、父と娘と息子です。この場合、このコードは、C(C E G)にもCm(C Eb G)にも進むことができます。つまり、どちらにも所属する可能性がある、どちらの生まれでもある可能性があるということです。どちらの生まれなか、父は確認することが原理的にできないのです。このような性質をEとEb、妻と不倫相手の関係で表してみました。
不倫相手の息子D(主人公の子供の可能性も)
では不倫関係でもう一つ、実は息子の友人「D」は、【不倫相手「Eb」の「息子」】です。恐ろしい世界ですね。これは上記と同じような理由です。つまり、この友人の息子(D)は、もしかしたら主人公Cの子供なのかもしれないということです。実際、DはCメジャー(正妻)の世界にもCマイナーの世界(不倫)にも現れる二重性があります。彼もまた、どこの子かわからないのです。母親A 普通の友達なんてことはあり得ない
次に母親Aを説明します。先ほどからこの世界は正妻の世界と不倫の世界の二重性があると説明してきましたが、もう一つ身近な世界があります。それは、Aマイナーの世界です。Aマイナーの世界は、Cメジャーの世界と構成する音は同じなのです。つまり登場人物は同じです。つまりAメジャーの世界とCメジャーの世界はほぼ同一なのです。これは生まれたばかりの子供が、自分の世界と母親の世界を同一だと考えるような、自分と他社の境界がまだないような、あの世界に近いと私は考えました。EとEbのせめぎ合いで立上がってくる世界は、あくまで主人公があとからつかみ取った二重性ですが、AマイナーとCメジャーの世界の二重性は、生まれた時からある、母子の関係に近いものがあるのです。ちなみに、Am(A C E)という重要な和音は、「母、主人公、妻」という主人公にとって大切な女性だけで構成されています。Amは陰陽で言えば陰、月のような、女性のような印象がないでしょうか。この点が表されています。ここまで関係が深いAが友人だとしたら、おそらく少しアブノーマルな関係なのではないでしょうか。ファンキーな兄 Bb=A#
あと説明してないのは兄(A#)かな。これは単純にブルースでよく使うコードC7(C E G Bb)の中で、Bb=A#=兄が、ファンキーな存在感を出しているからです。まとめ
ということで、この図はかなり本気を出して、音楽理論との整合性がとれるようにしましたので、Key in Cの曲で出てくる和音を、この図を参考に押さえてみていただければ、かなりその和音の説明となるようになっている力作です。ではまた!
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