2012年5月21日月曜日
2nd Meeting 6/16(土) MUSIC THEORY WORKSHOP JAPAN
過去のブログを見ていただいた方から、ちょっと一回目の内容がガチっぽく感じられ、参加を躊躇した、というお話を伺いました。
大丈夫です。音楽好きなら楽しめる内容になっていますので、少しでも興味を持たれた方は、是非ご参加ください。
実は会の半分はただの飲み会で、最近いったライブや、各々の活動や、好きなアーティストの話をしています。
1/4はなんとなくみんなで演奏したり、デモ演奏をしました。
残りの1/4が研究発表の時間です。
前回は少し難しい話でしたが、内容は様々です。
また発表は専門家でなければいけないわけではなく、今気になっているテーマや、自分が好きなことについて何かお話をしていただければ大丈夫です。
自分にとってあたりまえのことは、実は他人が聞くとかなり面白い、ということはよくあると思います。
人間一人で調べたり研究できる範囲は、かなり限られています。
そのため、あなたがあたりまえに知っていることは、他の誰かには、本当に新しくて刺激的なことだと思います。
ですからどんな些細なことでもよいのでお話を聞ければと思います。
お待ちしています!
@neralt
2012年5月14日月曜日
サイコロによる作曲家
思いのほかいい曲ができたので、味をしめまして、もっとやってみようと思います。
MP3
http://db.tt/lEhQ7Azg
サイコロをふって、コードを四つ決めます。
まず、12面ダイスをふって、ルートを決めます。
1 C
2 #C
3 D
4 #D
5 E
6 F
7 #F
8 G
9 #G
10 A
11 #A
12 B
次に六面ダイスをふって、コードクオリティを決めます。
1 M
2 m
3 M7
4 m7
5 sus4
6 Tension
6のTensionが出た時だけ、もう一度サイコロをふり、テンションサウンドを決めます。
1 #11
2 9 13
3 b9
4 #9
5 #9 b13
6 b9 b13
これを四回繰り返します。
ためしに…
#FM
Bm7
bEm
bBsus4
がでました。
あんまり変なコードが出なくてつまらないな〜。
これはまだまだ詰めていく必要がありますね。
なにかアイデアがある方は是非ご意見ください。
2012年5月13日日曜日
ありがとうございました MTWJ 1st Meeting
計9名、かなりさまざまな方面からご参加いただき、広がりのあるミーティングとなりました。
私自身も初対面の方が3名おり、とても刺激的でした。
MTWJは開かれた団体でありたいと思っています。
人が集まる中で芸術が生まれるというのが、私の芸術コミュニティに関する歴史的な研究の結論だからです。
以前も「Salon de Nude」というアートイベントを企画していましたが、これはサロン文化-音楽家や文筆家、学者、画家等々広範な文化人を集めて交流をする集い-へのリスペクトからはじまったイベントでした。
サロン文化について
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0474.html
最終的には大体100人くらいが来るイベントに成長し、参加者の8割は私も知らない人で、どんどん自然に拡大していきました。
MTWJも、うまく回っていけばよいなと思ってもおりますので、是非ご友人をまた誘っていただければと思います。(とかいうとねずみ講みたいですね笑)
さて、肝心の内容についてですが、まず会長であります私Neraltより「音楽理論とはいったいなんのか?」という基調講演をさせていただきました。
次に、突然見ず知らずの私からの依頼を快諾していただいたクスナガさんより「音楽とは何かについての試論」というタイトルで、特にご専門であります現象学にひきつけてお話をいただきました。
クスナガさんについて
http://about.me/yz_xnaga
クスナガさんのブログ(非常に面白いです)
http://blog.livedoor.jp/yz_xnaga/
「音楽理論とはいったい何なのか?」
資料 スライドhttps://www.dropbox.com/s/m13lgjk4690cmqo/whatismusictheory.pptx
「音楽とは何かについての試論」
次はクスナガさんのですが、本当に精度の高い密度の濃い議論をしていただけました。改めて感謝いたします。
資料PDF
https://www.dropbox.com/s/xsfrbw838tj77cn/MTWJ0513Xnaga.pdf
音声ダイジェスト版(当日の空気が分かる面白いところを中心にきりました)
クスナガさんはtwitterで知り合いになった方で、ブログの内容が非常に濃いことから是非お話を聞きたいという熱烈なオファーをさせていただき、快諾いただきました。
クスナガさんのブログ(非常に面白いです)
http://blog.livedoor.jp/yz_xnaga/
理路整然と音楽に関する過去の議論をレビューし、さらに現時点での答えを導き出してくれました。
クスナガさんは特に現象学が専門で、この分野にひきつけてお話をいただいたのですが、この説明しづらい、しかし魅力的な現象学の視点を専門ではないわれわれに噛み砕いて説明いただき、大変刺激的でした。
この資料PDFが本当にご労作で、すばらしいの一言。
ここまで網羅的に音楽とは何なのか、という言説をレビューした資料はないんじゃないでしょうか。
で、クスナガさんが本当に哲学者として真摯な方で、
「そもそもこの問いは問いとして成立するのか」
「今回のテーマは本当に音楽である必要があったのか、認識一般の問題じゃないの?」
という問いを常に自己に問うわけですね、これがまた面白くて会場は沸きました。
内容に関しては是非PDFをみなさんに見ていただきたいと思います。
第一回にふさわしい、そして今後も重要なテーマについてお話いただき、本当にすばらしかった!!
是非今後も講義をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
さてこんな感じで盛り上がりましたMusic Theory Workshop Japanですが、次回は6月16日(土)を予定しております。
会員のほうもまだまだ募集しております。こちらの名簿に記入いただくか、もしくは私のほうにご連絡ください。 twitter@neralt
https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0ApirSlwpMw-pdG4wQzhydXA4Wm1fV3ZxOHkwNllxMUE
また、講演をしてくださいます方を募集しております。
今回はかなりアカデミックな内容を扱いましたが、決してアカデミックな内容である必要はありません。
特に女性の研究者をMTWJは募集しております。
というのも、kobori君にいつかばらされるから先に言っておくと(笑)そもそもMTWJは、音楽理論という暗い地味なことばかりやっている私が、サブカル女子にもてたい、という「不順な動機」からはじまっております。
またまじめな話をすると、冒頭でお話をさせていただいたサロン文化も、主催者は貴族の女性であありますし、文化カルチャーの中心には常に女性がいます。女性に評価されないカルチャーはどうしても滅びていく運命にあります。
現在アカデミックな、もしくは狭い範囲で言うと音楽理論というのが盛り上がらないのは、女性に評価されないつまらないカルチャーだからなのではないか、という現実的な問題があります。
難しいし、役にたたない、もりあがらない、というのが一般的な感想だと思います。
けど、本当はもっと面白いし、広くいろんな人にこの興奮を伝えれるのではないか、という思いが私にはあります。だから音楽の専門家以外の人、特にカルチャーをいつも引っ張っいってくれるサブカル女子に楽しんでもらえるコンテンツを作る必要がある、そのように考えています。
ということでご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
また部屋の片付け、及び椅子や机を貸していただきました空窓堂@cosoodo氏、参加者にもかかわらず食料の買出しやピザの注文をさせられた@kondorosso氏、改めて御礼申し上げます。
では次回は6月16日(土)にお会いしましょう!!
2012年5月11日金曜日
MUSIC THEORY WORKSHOP JAPAN 1st meeting
基調公演として、音楽理論とはいったいなんなのかということについて話をいたします。
そのためのビジュアルイメージを作成しました。ドロップボクスにあります。
http://db.tt/TBrZ34Hr
あえてビジュアルイメージをつくったのは、幅広い人に興味を持っていただくためです。
楽譜や文字だと、専門家以外にはかなり理解することが難しい。
けれどきっと音楽理論について興味がある人はたくさんいるんじゃないか。
色んな人に伝わる形ってなんだろう。
そう考えた結果、やはり視覚だろうという結論になりました。
見えることの効果は絶大です。
見るということは、理解するということですし、図示するといことは、説明するということです。
これは英語表現に顕著です。
ということで、誰にでも面白く聞けるようなコンテンツを今後も準備し、幅広い人にアピールできればと思います。
2012年5月7日月曜日
Kosmic Renaissance
メンバーはサックス+マイクロコルグ+ルーパー、ドラム+タブラ、フェーダーボード+ARP+DJミキサーだ。
サックスはbossのルーパーでサックスのフレーズやマイクロコルグで演奏したベースラインを反復させ、それが曲の形を作る。
その上でサックス、ドラムもしくはタブラが自由にビートを刻む。
フェーダーボードはMPC1000をトリガーしている。またARPの音はDJミキサーでスクラッチの要領で刻まれる。
この映像は少し微妙だけど、本当はもっとかっこいい。
DVDとCDがセットになったものが出ている。
もし見たい人がいれば、貸すよ。
なぜ彼らがかっこいいかというと、本当の意味で自由な気がするからだ。
決して他の人のやり方の自由を否定するつもりはない。
これは現時点での僕の考える自由について。
人によっても、また同じ人間にとっても自由の意味は変わる。
本当の意味で自由と言ったのはこういう意味だ。
即興であること。
ジャズの即興でも通常はコードを決めたり、ある程度用意をする。
しかしこのバンドは一切しない。
完全即興だからすごい、なんて単純なことをいうつもりはない。
けれどこのバンドは自然な形でこのやり方を選び、自由を感じさせてくれる。
このメンバーならどんなチャレンジもできそうな感じがする。
ビートの自由。
一定の伝統的なテンポが刻まれているものの、そのなかでの譜割が非常に自由だ。
テンポを一定にしないという自由もあるが、それは他人と共有するのが難しい自由だ。
どこでどんなテンポチェンジをしたのか、他人には理解できない。
他人に理解できないということは、インタラクティブなプレイは生まれない。
ある種の共有が必要だ。
演奏であること。
DJやDAWで音響操作が簡単にできる今、演奏は古いと思われるかもしれないけど、僕の考えでは、ビートとメロディがある音楽で、自由になろうとする場合、楽器というインターフェイスが一番有
効だ。
僕はあるときまでほとんど楽器を演奏せず、ジェフミルズがやるようにばらばらのトラックを用意してきてabletonLIVEでどんどんライブミックスして曲を構築するというパフォーマンスをしていたけど、ここ3年くらいは、演奏に戻ってきた。
なぜだかはわからない。
けどそろそろ死ぬなっていう(まだ生きるけど心境的に)自分の人生の限界が見えてきたときに、何かを選ばなくてはいけないんだなと感じた。
そこで楽器を選んだ。
このことについては面白そうなのでまた取り上げさせていただきたい。
話は戻って、コズミックルネサンス。
最高にかっこいいバンドだけれど、今はおそらく活動してない。
残念だ。
それにどんどん忘れられている。
悲しいので、みなさんにご紹介させていただいた。
2012年5月6日日曜日
ミュージシャンズリスナー/マジシャンは喜んで騙されるお客様の前でプレイすべきか
確かに私もそう思うけれど、だとすれば私は嫌な客にあてはまる!!
コードやリズムに一々感想を抱く、細かい客だからだ!
けれどそういう客も時には必要だろう。
あなたがつくったモチーフや和声上の拡張を私は見逃さない。
今切ったミドル帯域の変化を見逃さない。
よく知られたスタンダードのうえで、これまたよく知られたスタンダードのメロディを挿入したことを見逃さない。
私はよく見ている。
ミュージシャンズミュージシャンという言葉がある。
ミュージシャンが好きなミュージシャンのことだ。
しさし、ここで私は傲慢ながら新たにミュージシャンズリスナーという肩書きを宣言したい。
熱狂的なファンとは異なるが、しかし熱狂的なリスナー。
音楽的な変化を見逃さない偏執的なリスナー。
そういった人達の前で演奏するのも、ミュージシャンとしてはひとつの幸せだといえないだろうか。
2012年5月5日土曜日
ギタリストの発想ーエリックジョンソンを勉強したあとで
そのひとつは、コードのフォームからメロディーを作り出すこと。
鍵盤楽器は和音を鳴らすのが簡単なので、無頓着にたくさんの音を鳴らしてしまい、その中にあるメロディの可能性を、台無しにしてしまうことがある。
ギターも和音を弾くのは簡単だけど、何故だか一音一音を大切にしている様に感じる。
二人に違いがあるとすれば、コードをプレイする時の身体的な準備の差だ。
鍵盤楽器では、Cも、CM9も、演奏上の準備はさほど変わらない。
ドをレにするだけだから。
けれどギターで弾こうとおもったら、CとCM9ではかなり手の形が違う。
だからひとつコードに敏感なんじゃないのかな。
結局なんでもそうなんだけど、大事なのは解像度だ。
対象を捉える網目の細かさが、自分の音楽の精度になる。
丁寧にいきたい。
Eric Jonson,DVD[The Fine Art of Guiter],『A Song For Life』
特にそのトーンがヤバイ。
丁寧に弾くということにかけてはギターの歴史の中で一番だと思う。
今回は、彼の教則DVD「[The Fine Art of Guiter」より、アコースティックギターのテクニックセクションEx34『A Song For Life』を取り上げる。
http://www.youtube.com/watch?v=mV5dMDId7uY
まず全体を俯瞰すると、序盤はKeyA、そして3ページ目にキーが変化しKeyDになる。
KeyAの中には、冒頭のF#m11のオスティナート(A)、それからAsus2ではじまるメロディアスな部分(B)、Bm7b5からはじまるベースAのペダルトーン部。(C)
KeyDの部分はBmからはじまるメロディアスな部分。(D)
以上(A)、(B)、(C)、(D)から成り立つ。
まず(A)のF#m11のオスティナートから見ていこう。
F#m11はKeyAにおいてⅥm11になる。
Ⅵmは基本的なコードであり問題ないが、特徴があるとすれば、コードクオリティのm11。
m11はルートから数えると、P4(完全四度)の音になる。このコードでいうとBの音だ。
このBの音は実はとても馴染み深い音だ。
なぜならF#mペンタトニック(F# A B C# E)の3番目の音だからだ。
基本的にm7コード上ではマイナーペンタトニックが全面的にサウンドする。
F#m7のうえで、F#はルート音だし、 Aはm3、BはP4、C#はP5、Eはm7だからだ。
B以外は、もともとF#mのコードトーンであるから当然サウンドする。
BもF#m7のコートトーンとぶつからない。
ここではエリックジョンソンは、F#m11を弾こうとしているのではなく、おそらくF#mのなかで、ペンタノメロディを弾き、結果としてm11の音が含まれている。
階名でこの部分のメロディを歌うと、レドソというメロディを繰り返す。
ラドミという和音の上で、レドソを繰り返す。結果としてレがm11としてサウンドする。
このやり方はエリックジョンソンの曲全体でよく見られる、というよりはフォーキーな楽曲によく見られる。
ペンタトニックはポップソングにおいて何よりも先行する構造で、どんなところにも入り込んでくる。
例えばⅤ7のG7上ではCは弾いちゃいけないことにジャズではなっているけど、ポップソングにおいては全然Cを弾く。
和声上のぶつかりよりも、ペンタトニックの欲求のほうが強いからだ。
次に(B)Asus2からはじまるメロディアスな部分を見ていこう。
まずメロディに注目する。
シレ ドーソーレド
シレ ソレドソー
ミレ ドーレミー ファーソラ ドーシードー
という非常に素朴なメロディーだ。
ダイアトニックなメロディーである。
コードは、Ⅲ7以外はダイアトニックなコードでⅢ7はⅥmへのドミナントモーションである。
Ⅵm Ⅱm Ⅲm7 Ⅳ Ⅴsus Ⅴ Ⅰ Ⅴ
の部分は、ポップソング特有の盛り上げで、Ⅱm7 Ⅴ7 Ⅰという進行を修飾してできあがっている。
ここで彼らしいのはメロディがドをとるときに、それと呼応するようにⅤsus4を使用していることである。
メロディのドとコードのBが半音でぶつかる。
このメロディ(ド)の音は一般的にはアヴォイドと呼ばれる避けるべき音であるとされる。
けれど普通のポップスでは普通に使われる。
しかし、エリックはあえてメロディとぶつかるコードの音Bを半音あげて、ぶつからないようにしている。
次に(D)キーがDになるところを取り上げる。
ここはⅥm Ⅲm Ⅳ△9 Ⅳ5というコードの繰り返しだ。
これはよく見る循環コードで、もっとよく見る形では、
Ⅵm Ⅲm Ⅳ Ⅰというループ。
代表的なのは、鬼束ちひろ - 月光。
http://www.youtube.com/watch?v=iyw6-KVmgow
これはもともとは、
Ⅰ Ⅴ Ⅳ Ⅰ
というアーシーなコード進行に由来する。
変形の過程は以下
Ⅰ→Ⅵm(代理コード) Ⅴ→Ⅲm(代理コード) Ⅳ→そのまま Ⅰ→そのまま
とても情緒的なコードだ。
メロディは、ドーシラーソミ ラーソミレドー。
最後に(C)のセクション。
ここはサブドミナントマイナーであるⅣmが支配している。
Ⅱm7b5もⅣmもサブドミナントマイナーである。
ルートが最初はⅠをとる。
次に、Ⅴをとる。そして最後Ⅴから冒頭の(B)に戻る。
以上、Eric Jonson,DVD[The Fine Art of Guiter],『A Song For Life』を取り上げた。
比較的癖のないシンプルな曲。
ペンタトニックが全体に響き渡る牧歌的なサウンドでした。