2012年5月5日土曜日

Eric Jonson,DVD[The Fine Art of Guiter],『A Song For Life』


エリックジョンソンは熱狂的なファンを持つギタリスト。



特にそのトーンがヤバイ。
丁寧に弾くということにかけてはギターの歴史の中で一番だと思う。
今回は、彼の教則DVD「[The Fine Art of Guiter」より、アコースティックギターのテクニックセクションEx34『A Song For Life』を取り上げる。
http://www.youtube.com/watch?v=mV5dMDId7uY





まず全体を俯瞰すると、序盤はKeyA、そして3ページ目にキーが変化しKeyDになる。
KeyAの中には、冒頭のF#m11のオスティナート(A)、それからAsus2ではじまるメロディアスな部分(B)、Bm7b5からはじまるベースAのペダルトーン部。(C)
KeyDの部分はBmからはじまるメロディアスな部分。(D)
以上(A)、(B)、(C)、(D)から成り立つ。


まず(A)のF#m11のオスティナートから見ていこう。
F#m11はKeyAにおいてⅥm11になる。
Ⅵmは基本的なコードであり問題ないが、特徴があるとすれば、コードクオリティのm11。
m11はルートから数えると、P4(完全四度)の音になる。このコードでいうとBの音だ。

このBの音は実はとても馴染み深い音だ。
なぜならF#mペンタトニック(F# A B C# E)の3番目の音だからだ。


基本的にm7コード上ではマイナーペンタトニックが全面的にサウンドする。
F#m7のうえで、F#はルート音だし、 Aはm3、BはP4、C#はP5、Eはm7だからだ。
B以外は、もともとF#mのコードトーンであるから当然サウンドする。
BもF#m7のコートトーンとぶつからない。

ここではエリックジョンソンは、F#m11を弾こうとしているのではなく、おそらくF#mのなかで、ペンタノメロディを弾き、結果としてm11の音が含まれている。
階名でこの部分のメロディを歌うと、レドソというメロディを繰り返す。
ラドミという和音の上で、レドソを繰り返す。結果としてレがm11としてサウンドする。

このやり方はエリックジョンソンの曲全体でよく見られる、というよりはフォーキーな楽曲によく見られる。
ペンタトニックはポップソングにおいて何よりも先行する構造で、どんなところにも入り込んでくる。
例えばⅤ7のG7上ではCは弾いちゃいけないことにジャズではなっているけど、ポップソングにおいては全然Cを弾く。
和声上のぶつかりよりも、ペンタトニックの欲求のほうが強いからだ。


次に(B)Asus2からはじまるメロディアスな部分を見ていこう。
まずメロディに注目する。
シレ ドーソーレド
シレ ソレドソー
ミレ ドーレミー ファーソラ ドーシードー
という非常に素朴なメロディーだ。
ダイアトニックなメロディーである。

コードは、Ⅲ7以外はダイアトニックなコードでⅢ7はⅥmへのドミナントモーションである。
Ⅵm Ⅱm Ⅲm7 Ⅳ Ⅴsus Ⅴ Ⅰ Ⅴ
の部分は、ポップソング特有の盛り上げで、Ⅱm7 Ⅴ7 Ⅰという進行を修飾してできあがっている。

ここで彼らしいのはメロディがドをとるときに、それと呼応するようにⅤsus4を使用していることである。
メロディのドとコードのBが半音でぶつかる。
このメロディ(ド)の音は一般的にはアヴォイドと呼ばれる避けるべき音であるとされる。
けれど普通のポップスでは普通に使われる。
しかし、エリックはあえてメロディとぶつかるコードの音Bを半音あげて、ぶつからないようにしている。


次に(D)キーがDになるところを取り上げる。

ここはⅥm Ⅲm Ⅳ△9 Ⅳ5というコードの繰り返しだ。
これはよく見る循環コードで、もっとよく見る形では、
Ⅵm Ⅲm Ⅳ Ⅰというループ。

代表的なのは、鬼束ちひろ - 月光。
http://www.youtube.com/watch?v=iyw6-KVmgow

これはもともとは、
Ⅰ Ⅴ Ⅳ Ⅰ
というアーシーなコード進行に由来する。

変形の過程は以下
Ⅰ→Ⅵm(代理コード) Ⅴ→Ⅲm(代理コード) Ⅳ→そのまま Ⅰ→そのまま

とても情緒的なコードだ。


メロディは、ドーシラーソミ ラーソミレドー。


最後に(C)のセクション。
ここはサブドミナントマイナーであるⅣmが支配している。
Ⅱm7b5もⅣmもサブドミナントマイナーである。
ルートが最初はⅠをとる。
次に、Ⅴをとる。そして最後Ⅴから冒頭の(B)に戻る。

以上、Eric Jonson,DVD[The Fine Art of Guiter],『A Song For Life』を取り上げた。
比較的癖のないシンプルな曲。
ペンタトニックが全体に響き渡る牧歌的なサウンドでした。




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