2012年5月13日日曜日

ありがとうございました MTWJ 1st Meeting

Music Theory Workshop Japan の1st Meetingにご参加いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。



計9名、かなりさまざまな方面からご参加いただき、広がりのあるミーティングとなりました。
私自身も初対面の方が3名おり、とても刺激的でした。
MTWJは開かれた団体でありたいと思っています。


人が集まる中で芸術が生まれるというのが、私の芸術コミュニティに関する歴史的な研究の結論だからです。

以前も「Salon de Nude」というアートイベントを企画していましたが、これはサロン文化-音楽家や文筆家、学者、画家等々広範な文化人を集めて交流をする集い-へのリスペクトからはじまったイベントでした。


サロン文化について
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0474.html


最終的には大体100人くらいが来るイベントに成長し、参加者の8割は私も知らない人で、どんどん自然に拡大していきました。

MTWJも、うまく回っていけばよいなと思ってもおりますので、是非ご友人をまた誘っていただければと思います。(とかいうとねずみ講みたいですね笑)

 

 

 

さて、肝心の内容についてですが、まず会長であります私Neraltより「音楽理論とはいったいなんのか?」という基調講演をさせていただきました。
次に、突然見ず知らずの私からの依頼を快諾していただいたクスナガさんより「音楽とは何かについての試論」というタイトルで、特にご専門であります現象学にひきつけてお話をいただきました。

クスナガさんについて
http://about.me/yz_xnaga

クスナガさんのブログ(非常に面白いです)
http://blog.livedoor.jp/yz_xnaga/

 

「音楽理論とはいったい何なのか?」

資料 スライド
https://www.dropbox.com/s/m13lgjk4690cmqo/whatismusictheory.pptx

 

 

 

今回の要点をまとめると、
・音楽理論は自然科学(物理・数学)というよりは工学に近い。つまり、音楽理論は音楽を絶対的に支配している法則ではなくて、どちらかというと音楽を作る上での実際的な技術論である。
・もっと踏み込むと、音楽理論はファッションであり、時代や流派によってかなりの程度異なる。(例えばフランスの和声とドイツの和声は異なる)ファッションゆえに、一番かっこいいことは、どんどん更新される。
・人間は全ての情報を知覚しておらず、意味の塊(チャンク)にまとめることで情報量を減らして処理をしている。音楽を聴くときにでもそうで、このチャンクの精度やバリエーションを増やすことで、より我々は音楽を深く知覚できる。
・ジャズミュージシャンのアドリブ(私は一応ジャズ畑…といっていいはず)は、このチャンクというシステムを最大限活用しておこなっている。例えばDmという意味の塊を、自動的に音符にできるようになっている。
という話をさせていただ きましたところ、カズコより
「私は大学で、社会学などの理論を、実際に活用し、効果をだすにはどうすればいいか、という研究をしていました。音楽理論は本当に音楽になるのですか(要約)」という耳に痛い質問をぶつけられ笑、すでに相当ビールでご機嫌になっていた私Neraltは、孫正義さんばりに、
「やりましょう!」
と答えていたのです。
一人だときついな、と考えた私は副会長であるkobori氏に、会長としての威厳と立場を利用を活用し、フリースタイルを強要しました。
今回の趣旨、音楽理論は実際に音楽のために有用か、に対して有用であること証明するために、参加者のみなさんに、まったく出鱈目に4つのコードを選んでもらい、それを音楽にするというパフォーマンスをいたしました。
コードネームというのはまったく形而学上の理論的な存在であり、実際の音ではないのでもちろん聞くこともできないただの記号です。まさに音楽理論の産物です。
これを解凍して、音楽にしようという試みですね。
しかも既存の曲のコード譜面を見て演奏するのではなく、まったく人為的に合成した、かなり出鱈目なコード、つまり本当に記号的なコードの羅列をいリアライズし音楽にするわけです。
今回みんなが書いたコードは、
EM /Absus4/ Gm /Bb11 13


EMとかGmは、あーあんまりコードとかは知らない人が書いてくれたんだな、という優しい印象を感じますが(実際女子二人が書いてくれた)、sus4とか11 13とかは、明らかにプロの犯行ですね。テンションが指定されているせいで、かなりやりずらい!!!笑
kobori君がMPC1000でビートを組んでくれて、その上で私がこのコードをプレイし、さらにkobori君のラップをフリースタイルで乗せる、というプレイをしましたが、なんとpulp氏のフリースタイル乱入により、大変もりあがりました!
録音しておけばよかったんですが、残念ながら録音は残っておりません…
そこで、新たに録音しました!
ちゃんとコードは守っております!
ミックスがいまいちかつノイジーなのは、私のスキルと、MPC1000とハードシンセをMIDIで結線し、一発録という男らしい録音システムのためですね。
どうでしょうか、ただの記号が実際に音楽になる過程、われわれプレイヤーにとってはよくある日常ですが、リスナーの方にとっては新鮮な体験かもしれません。
というところで私の発表は終了。
セッション楽しかったのでまたやりたいね!

「音楽とは何かについての試論」

次はクスナガさんのですが、本当に精度の高い密度の濃い議論をしていただけました。改めて感謝いたします。


資料PDF

https://www.dropbox.com/s/xsfrbw838tj77cn/MTWJ0513Xnaga.pdf

音声ダイジェスト版(当日の空気が分かる面白いところを中心にきりました)

http://db.tt/VAbEGE75


クスナガさんはtwitterで知り合いになった方で、ブログの内容が非常に濃いことから是非お話を聞きたいという熱烈なオファーをさせていただき、快諾いただきました。

クスナガさんのブログ(非常に面白いです)

http://blog.livedoor.jp/yz_xnaga/

理路整然と音楽に関する過去の議論をレビューし、さらに現時点での答えを導き出してくれました。

クスナガさんは特に現象学が専門で、この分野にひきつけてお話をいただいたのですが、この説明しづらい、しかし魅力的な現象学の視点を専門ではないわれわれに噛み砕いて説明いただき、大変刺激的でした。

この資料PDFが本当にご労作で、すばらしいの一言。

ここまで網羅的に音楽とは何なのか、という言説をレビューした資料はないんじゃないでしょうか。

で、クスナガさんが本当に哲学者として真摯な方で、

「そもそもこの問いは問いとして成立するのか」

「今回のテーマは本当に音楽である必要があったのか、認識一般の問題じゃないの?」

という問いを常に自己に問うわけですね、これがまた面白くて会場は沸きました。

内容に関しては是非PDFをみなさんに見ていただきたいと思います。

第一回にふさわしい、そして今後も重要なテーマについてお話いただき、本当にすばらしかった!!

是非今後も講義をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

さてこんな感じで盛り上がりましたMusic Theory Workshop Japanですが、次回は6月16日(土)を予定しております。

会員のほうもまだまだ募集しております。こちらの名簿に記入いただくか、もしくは私のほうにご連絡ください。 twitter@neralt

https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0ApirSlwpMw-pdG4wQzhydXA4Wm1fV3ZxOHkwNllxMUE

また、講演をしてくださいます方を募集しております。

今回はかなりアカデミックな内容を扱いましたが、決してアカデミックな内容である必要はありません。

特に女性の研究者をMTWJは募集しております。

というのも、kobori君にいつかばらされるから先に言っておくと(笑)そもそもMTWJは、音楽理論という暗い地味なことばかりやっている私が、サブカル女子にもてたい、という「不順な動機」からはじまっております。

またまじめな話をすると、冒頭でお話をさせていただいたサロン文化も、主催者は貴族の女性であありますし、文化カルチャーの中心には常に女性がいます。女性に評価されないカルチャーはどうしても滅びていく運命にあります。

現在アカデミックな、もしくは狭い範囲で言うと音楽理論というのが盛り上がらないのは、女性に評価されないつまらないカルチャーだからなのではないか、という現実的な問題があります。

難しいし、役にたたない、もりあがらない、というのが一般的な感想だと思います。

けど、本当はもっと面白いし、広くいろんな人にこの興奮を伝えれるのではないか、という思いが私にはあります。だから音楽の専門家以外の人、特にカルチャーをいつも引っ張っいってくれるサブカル女子に楽しんでもらえるコンテンツを作る必要がある、そのように考えています。

ということでご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

また部屋の片付け、及び椅子や机を貸していただきました空窓堂@cosoodo氏、参加者にもかかわらず食料の買出しやピザの注文をさせられた@kondorosso氏、改めて御礼申し上げます。

では次回は6月16日(土)にお会いしましょう!!

0 件のコメント:

コメントを投稿